交通安全・自動運転技術等の調査・研究 について

2022年12月8日付当社ブログで紹介いたしました、ながらスマホ防止装置を既に自社開発にて実装・運用しているカリツー株式会社西尾営業所様を、当社丹羽が訪問し、『ながらスマホ見守りシステム』の運用状況を視察させていただきましたのでご報告します。
当日は、第4営業部取締役榊原武智様、西尾営業所所長榊原雄一様、情報システム部部長佐藤剛様、同開発1課システム監査グループ係長鈴木聖士様他皆様にご対応いただきました。

結論として、『ながらスマホ見守りシステム』導入後の半年間(運用トライ期間中)で、トラックを運転するドライバーが実際にながらスマホをしたとの実績は検知されなかったとのことで、『ながらスマホ見守りシステム』がながらスマホ防止に高い効果を発揮していることや、カリツー様やそのドライバーが高い安全意識を有していることが示されました。

カリツー株式会社様について

当社が所在する愛知県及びその周辺地域にお住いの皆様にとって、さわやかな淡いグリーンとブルーで色付けられたカリツー様のトラックはなじみ深いと思いますが、カリツー株式会社様は愛知県安城市に本社を置く、国内でも有数の物流会社です。

本記事掲載時である2023年4月時点での営業拠点は国内外55か所、955台もの自社車両(フォークリフトを除く)を有しており、法人向けトラック輸送のみならず、高機能物流センターを各地に設け、製品の生産から納品までの時間の短縮化や効率化という付加価値の高い物流サービスを提供しています。(カリツー株式会社様HPより)


西尾営業所様について

今回当社が訪問させていただいたカリツー株式会社西尾営業所様は、我が国の自動車産業集積地であり日本の産業の根幹をなす愛知県三河地方の物流の動脈である国道23号線間近に、敷地面積3685坪という広大な敷地を構え、自車トラック53台、協力会社トラック89台を有する同社の主要な営業所の一つです。

『ながらスマホ見守りシステム』によるながらスマホ防止機能概要


先のブログでも詳しく紹介いたしましたが、ながらスマホ見守りシステムによるながらスマホ防止技術は安価かつ導入が容易で、ながらスマホ抑制に高い効果をもたらします。
その技術を今一度簡単に説明しますと、ドライバーのスマートフォンに専用アプリをインストールし、スマートフォンとの距離を検出するビーコンと一緒に袋等に入れておくなど近接位置においておき、一定の移動速度を感知している際に、スマートフォンがビーコンと離れると、異常を検知しシステムに通報するとのものです。
カリツー様では、アプリを起動させたスマートフォンとビーコンをファイルケースに入れ、運転中はファイルケースごと助手席にかけておきます。

カリツー様ではシステムの異常を検知する移動速度を時速10Km以上に設定されていますが、運転中にスマートフォンがファイルケースから取り出され、ビーコンとの距離が離れると異常を検知し営業所内に設置されたパソコンに異常が通報されることになります。

一度『ながらスマホ見守りシステム』システムを導入した後は、市販のビーコンを購入すれば、何台の車両にも対応が可能になりますし、ビーコンと車両及びスマホは紐づいていないので、実走する車両台数分だけビーコンを準備すれば、すべての乗務に対応が可能になります。

カリツー株式会社様での乗務までの流れ

カリツー様では、ドライバーが乗務を開始する前の運行管理者との点呼を徹底しており、アルコールや健康状態のチェック、安全運行指導等を独自の実効性の高い方法で実施されています。
『ながらスマホ見守りシステム』の起動状況については、乗車前点呼の際に、ドライバーのスマートフォン内のアプリを起動したことを、運行管理者とともに確実に確認します。
アプリを起動させた状態でビーコンとともにファイルケースに入れ、運転中に手が届かない助手席ヘッドレスト下に設置してあるフックにファイルケースごとかけた状態で運行を開始するという流れになります。


カリツー株式会社様のながらスマホ抑制方法について

カリツー様では、自車のすべてのトラックの前方及び車内のドライブレコーダーの映像、デジタルタコメーターのデータをリアルタイムで収集しており、これらは時間と紐づいていますので、ある時点でドライバーが運転中であったかはすぐに検証することが可能です。
そのため、『ながらスマホ見守りシステム』から異常通報を検知した場合、通報時間と上記運行データや動画等と照らし合わせ、ドライバーが実際に運転中にスマートフォンを操作したかが容易にわかるように運用され、誤検知を防いでいます。
このように、カリツー様では、『ながらスマホ見守りシステム』の通報のみに依拠せず、複数のデバイスを用いて実際にながらスマホをしていたのかを検証することでドライバーの利益に最大限配慮しています。



カリツー様では、運用トライ開始半年間で、順次トラックに『ながらスマホ見守りシステム』を導入し、今後自社のすべてのトラックに『ながらスマホ見守りシステム』を展開する予定で、トラック輸送を担う会社として“安全を第一”に社会へ貢献して行きたいとの事です。
 


nitroの想い

令和元年11月の道路交通法改正により、ながらスマホ運転については厳罰化され、その危険性についての報道や社会的な関心は次第に薄れてきた感がありますが、交通事故賠償の最前線におかれた我々には、ながらスマホ運転やこれに起因する交通事故が激減したとは到底思えません。
むしろ、ADASシステムの実装及び発展による自動車運転行為の危険性の心理的ハードルが下がっている現状では、スマホながら運転に対する危機感も薄れている気がしています。

そもそも、スマホながら運転行為の撲滅を悲願としてきた丹羽は、ながらスマホ運転を物理的に不可能とする技術の開発は容易だったと思えるにもかかわらず、これを怠り多数の死傷者を生み出しその遺族・家族に苦しみを与え続けている現状に疑問を抱き憂いてきました。
その中で開発された、極めて容易かつ安価に導入可能な『ながらスマホ見守りシステム』は、ながらスマホ運転抑止のための決定的な技術であり、これをいち早く導入し高い効果を挙げられているカリツー様の交通安全に対する意識の高さや、社会的責務への貢献については、同じ愛知県の企業としてとても誇らしく頼もしく思います。
何より、『ながらスマホ見守りシステム』を運用トライ開始後、ながらスマホ運転を確知していないという事実は、株式会社カリツー様が、もともと全社を挙げて交通安全に対する高い意識を持ち実践されてきた証左といえます。
『ながらスマホ見守りシステム』は、運送業者のみならず、バス会社やタクシー会社などの旅客運輸業にも容易かつ安価に導入可能です。
また、『ながらスマホ見守りシステム』は、従業員が自家用車で通・退勤している一般企業にもそのまま利用可能ですし、純然たる自家用車であっても、ながらスマホ運転をしたことを家族に通知が行くように設定するなどすれば、自家用車のながらスマホ運転抑止にも利用することが可能ではないでしょうか。
我々nitroでは、引き続き、『ながらスマホ見守りシステム』の普及とながらスマホ運転抑止に力を注いでいきます。

カリツー株式会社取締役榊原様、西尾営業所の皆様におかれましては、大変ご多忙の折にもかかわらず、大変丁寧にかつ詳しく『ながらスマホ見守りシステム』の運用状況等についてご教示いただき誠にありがとうございました。
カリツー様が、交通安全や安全運転に対し特に高い意識をもって取り組まれている様子が伝わってきました。

カリツー株式会社様の概要

社名    カリツー株式会社
本社所在地    〒446-8540 愛知県安城市三河安城町1-4-4 
創業    1951年2月28日 
資本金    75,000千円
売上高    598億円(2022年3月期) 
社員数    2,703名(2022年3月末現在) 
営業種目 貨物自動車運送事業 利用運送事業〈JR貨物〉 運送取次事業 倉庫業
荷造包装業等他多数
車両保有台数    1,719台
<内訳>
大型〈5t車以上〉: 739台 / 小型〈5t車未満〉:216台 / フォークリフト:764台

本記事の内容は、すべて合同会社nitroが責任を負います。