交通安全・自動運転技術等の調査・研究 について

2022年10月3日、nitroの丹羽、友近、阿部の3名が、東京都日本橋に所在するダイナミックマップ基盤株式会社様(以下、「DMP社様」といいます。)本社を訪問し、高精度3次元地図データを利用したVR体験をさせていただきました。

ダイナミックマップ基盤株式会社様の先進技術

先進自動運転車両に既に実装

DMP社様は、実際の高速道路や自動車専用道路の道路状況やその周辺構造物を点群化した3次元データを収集し、高精度3次元地図データ(HDマップ)を作成している会社で、HDマップは既に自動運転システムの一部として、ホンダ社のレジェンド(Honda SENSING Elite・レベル3)や日産車のスカイライン(ProPILOT2.0・レベル2)に実装され、安全な自動運転・運転支援に利用されています。


HDマップ 点群データ(いずれもDMP社HPより)

より精緻で安全な自動運転に不可欠な技術

自動運転システムは、ステレオカメラや、LiDARと呼ばれるレーザー光を利用したセンサーやミリ波レーダー等を利用し、道路形状や信号色、他の交通などの車外環境を認識しています。
また、自車の位置を正確に認識し高精度な航路予測を行うために、GPSによる位置情報を取得していますが、これらのシステムはそれぞれ誤差が生じるので、実際に走行している道路状況を高精度に3次元化したHDマップにより、より精緻な外部環境や現在位置の認識・航路予測を可能にしています。

HDマップは、あらゆる自動運転車両の基盤となる極めて重要な社会的インフラであり、2021年9月現在において、上下線合わせて3万1910Kmが既に3Dマップ化され、道路の延伸や変更に合わせデータメンテナンスがなされています。

VR・HDマップ体験談

今回、DMP社様に実施いただいたのは、HDマップを利用したVR体験です。
体験者はVRゴーグルを装着し、両手にコントローラーを持ちます。
VRゴーグルでは点群データで表示された実際の道路の3D画面が表示され、顔の動きに合わせて実際の道路の前後・左右・上下と画面が連動して動きます。
両手のコントローラーでは、移動速度の変化が可能で、基準となる視点の高さも調整できます。


奥のディスプレイに表示された画面がVR画面上で表示されています。

nitroの3名も実際にゴーグルを着用しVR体験をしましたが、まるで実際に行動上で車を運転しているような感覚を得られました。
顔の動きに合わせとても自然でかつシームレスに画面が表示されたことに、参加者一同とても驚愕しました。
今回、体験したのは高速道路上で本線に合流する側道上の走行再現だったのですが、実際の高速道路で本線に合流するために前方の安全確認をしながら、右後方を確認する動作などまさに車を運転する感覚と寸分違わない感覚でした。

また、下記の画像のとおり、道路の勾配や高低差、路面上の凹凸なども忠実に再現されること、視点の高さ調節により、運転手の目線だけでなく、高所からの俯瞰視点も容易に得られること、VR画面上に正確な長さや距離の測定結果が表示できることにさらに驚きました。


コントローラーではなく、ハンドルやペダル類を装備すれば、実際の公道での仮想ドライブ体験は簡単に実現できそうです。
DMP社様の3D再生技術力の高さもさることながら、HDマップによる様々な分野での仮想現実技術の応用可能性が極めて高いことを実感した体験でした。 

nitroが考えるVR・HDマップの活用が期待される分野や技術

<法的分野>
・事故態様の再現
交通事故の際に、運転者から相手方は見えた可能性はあったか、どの程度位置で確認できたか、事故を避けることは物理的に可能であったか、ドライブレコーダーではとらえきれない範囲を俯瞰により再現することができるなど、実際の事故現場で事故状況を再現できることで、より事実に即した事故態様や過失割合の認定が可能
・仮想実況見分
入院中や遠方などで実況見分に立ち会えない場合、実際の事故現場が使用できない場合などでもVRの中で指示説明が可能となり、また、測量等もVR上で可能となるため、安全かつ容易、迅速に実況見分が可能になる。
また、実際の現場を通行止めにする必要がなくなり、事故起因の事故渋滞の大幅な解消も可能となる。
<交通安全分野>
・公道・高速教習
自動車教習所などでの公道・高速走行前に、実際の公道での運転を再現することにより、安全かつ自信をもって公道走行に取り組める。
・初心者・高齢者教習
高齢者講習での技能研修に利用することで、大幅なコストと時間の削減と安全を確保できる。
また、運転に不慣れな初心者が、公道を走行する前の練習としてVR体験を実施することで自信をもちかつ安全に行動を走行することができる。
<土木・建設分野>
・道路や周辺構造物・橋脚等の修繕、補修計画や工法の策定の際、現場で調査・測量をしなくても、VR中で測量し配置図等の図面を作成し、また、施工方法の策定や手順の確認が可能
<エンタメ・健康>
・実際の公道上での仮想ドライブ体験
事情によりドライブにいけない方とドライブしている体験の共有、大切な方とのドライブの予習、ドライブの思い出の追体験
また、免許が取れない児童や若年者に自動車の運転を体験してもらい、自動車運転の楽しさを提供し、免許取得や自家用車所有のモチベーションを与え、車離れに歯止めをかけることができる。
・ランニング・自転車走行体験
スポーツジムや家庭で、ランニングマシーンやフィットネスバイクにより公道上を走行している気分を味わいながらトレーニングが可能
また、マラソンやロードレース大会の予習にも

ダイナミックマップ基盤株式会社様の概要

会社名    ダイナミックマップ基盤株式会社
会社URL https://www.dynamic-maps.co.jp/index.html
本社所在地 〒103-0022東京都中央区日本橋室町4-1-21 近三ビルヂング6階
創業年月日    2016年6月13日
資本金    1億円(2021年8月31日現在)
代表取締役社長CEO 吉村 修一 様
主な事業内容 自動運転・ADASをはじめ多様な産業を対象とした高精度3次元データの提供
ダイナミックマップ基盤様へのお問い合わせはこちらからお願いします。https://reg34.smp.ne.jp/regist/switch/00002G0001ebdjYG7j/inquiry

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